道楽記

早春の臨時北斗 ~キハ283系~

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2014.05.02 撮影


北斗85号の運用に入るキハ283系を小沼の湖畔で撮影した一枚。沿線の木々は新芽が芽吹き始め、小鳥達がが囀る。春麗らかなロケーションをキハ283系が機関音も軽やかに走り抜ける。

しかし、当時のJR北海道はこのロケーションの対局にある様な状況だった。車両の発火事故を起こしたり、軌間拡大に依る脱線事故を起こしたり、挙げ句の果ては社員の不祥事等々、泥沼状態であった。そんな状況を鑑み、一部形式の運用停止や高速運転の取り止めを敢行した。その為、道南の大動脈を支えた特急北斗系統も運休列車が相次ぎ、その穴埋めとして様々な特急車両が臨時北斗として輸送力確保に投入されていた。

このキハ283系スーパー北斗の運用を外れた後も、最高速度を110km/hに制限し振り子機構を使用停止した上で臨時北斗の運用に投入されていた。この日は中間に先頭車を組み込んだ6車で運用された。定期運用時の増結対応で編成中間に先頭車を組み込む事はしばしばあったが、6車で中間に先頭車を組み込んだ編成はあまり聞いた事が無かった。この頃の逼迫したJR北海道の状況を具現化した様な編成であった。


 

元々、振り子機構を備えた上に強力なエンジンを装備し、130km/hでの運行にも対応したキハ283系であるが、JR北海道の不祥事に巻き込まれる形で”日陰者”となってしまった。最近では、一部の量産車も函館へ廃車を前提とした疎開が行われたそうだ。国鉄形式のキハ183系すらまだ現役の中、先んじて遂に廃車が始まる。これ程に悲運な形式はそうそう存在しないだろう。